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Complicated Malignant Neoplasm and Globulomaxillary
Cyst:
Oral Surg., Oral Med.& Oral.Path., 19:
10-20, 1965
上顎骨球状突起部に出来た
癌の症例報告 |
A case in which a malignant neoplasm
formed at the junction of the globular
and
maxillary process and maxillary sinus
in
a 34-year-old Japanese woman has been
reported.
X-ray examination shouwed what appeared
to
be a typical globulomaxillary cyst,
but histopathologic
examination reveared a complicated
picture
of squamous-cell carcinoma, basal-cell
carcinoma,
transitional-cell carcinoma, simple
carcinoma,
endothelioma, and fibroma. The specimen
taken
after the adoministration of antitumor
compound
showed a picture of giant-cell carcinoma.
No reccurrence has been seen 4 years
after
the operation.
上顎に発生した癌についての報告です。蓄膿症の原因だとして耳鼻咽喉科の開業医から抜歯を依頼された患者でしたが、抜いてみると歯根の先に肉芽組織があり異常を感じましたので、その場で位相差顕微鏡による剥離細胞診をして癌細胞を発見したものです。約一月の間抗癌剤の静注をし、その後高知日赤耳鼻咽喉科で上顎の半側切除手術をしました。摘出物の病理組織検査をした結果、非常に複雑な癌などの組織像が見られました。すなわち、扁平上皮癌、基底細胞癌、移行細胞癌、単純癌、去細胞癌、内縁上皮腫、繊維腫などの細胞を含む腫瘍でした。この症例を当時世界的な権威である、左記の雑誌に報告した結果、編集長の病理学者 K.H.Thoma に認められて掲載されました。 |
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Fibromatous Gingival Hypertrophy,
Oral Surg., Oral Med.& Oral Path. 15:
904-910, 1962
繊維腫性歯肉肥大症の
症例報告 |
There are several types of benign gingival hypertrophy. They are usually
classified as local or diffuse on the basis of morphologic features and
as inflammatory, smptomatic, or neoplasmic from the etiological point of
view. Compararively numerous case reports of each of these types may be
found in the literature.
In the present article two cases of chronic
diffuse gingival hypertrophy are reported--one
in a 10-year-old girl and the other in an
11-year-old boy. Both were diagnosed clinically
as gingival elephantiasis and histologically
as fibromatous gingival hypertrophy. These
were not of a hereditary nature; nor had
the patients been given Dilantin
子供2例の繊維腫性歯肉肥大症の報告です。臨床的には歯肉エレファンティアージス(いわゆる歯肉象皮病)と言われるもので、沢山の報告例があります。今回報告した症例ではいずれも薬物性(アレビアチンなど)、遺伝性の原因が認められませんでした。
高血圧の降圧剤で、広範な炎症性の歯肉肥大が認められることがあります。最近は副作用として周知されていますが、当初は内科医に何度か無視されたものでした。臨床医は常に口の中の異常に気をつけていなければなりません。. |
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完成智歯自家移植の臨床的観察、
徳大歯科口腔外科年報21: 5-10, 1978
Clinical Studies on Autotransplantation of
Fully Developed Third Molars
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小児あるいは若者において外傷後の再植歯牙が長年使用に耐えていることにヒントを得て、完成智歯の自家移植を7例試み、良い結果を得たので報告した。
同種歯牙移植が失敗する原因は移植免疫によるものと考えられている。細菌感染、外科的処置による損傷、外傷性咬合、乾燥、薬剤による侵襲などにより変成した自己の組織、あるいは術中に付着した異物などがその拒絶反応の原因になると考えられる。したがって、手術ではこれらの原因を排除するよう心がけた。
すなはち、いったん体外に取り出され、血液、あるいは体液による栄養補給や保護を失った歯牙構成細胞は急速に変性して行くことが考えられるので、出来るだけ早く移植窩に移すことを心がけた。このため移植窩の歯牙はあらかじめ抜去し、移植歯は抜去後直ちにその創窩に挿入した。この間に等張液や消毒液で洗うことは避けた。歯根に触れることは出来るだけ避け、操作は全て歯冠部を鉗子あるいはピンセットで把持して行った。抜随あるいは根管処置は必要があれば移植後2週を経過した後行った。移植歯は歯槽骨と接触した状態で固定した。対合歯との咬合は低い目にした。
口腔内消毒は一般歯科外科的処置に準じ表面的に行い、移植窩及び歯根の消毒は行わなかった。移植窩の細菌感染の程度に応じて術前、術後に抗生物質の投与を行った。個体の環境適応力を高め、合わせて初期の免疫抑制を行う目的で、術後3日間副腎皮質ホルモンの投与を行った。
Seven cases of autotrannsplantation of fully developed third molars
to inflamed second or third molar site have been reported . Clinically,
it is entirly useful to transplant fully developed third molars in abnormal
site to the soket of proximal molar that should be extracted by the reason
of chronic inflammation.
Autotransplantation of fully developed
teeth seems to be more succesful than that
of debeloping teeth. It was emphasized that
quick procedure of the operation was important
, and, periodial adjustment for occlusal
traumatism should be done for the succesful
transplantation. |
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完成智歯自家移植の
臨床的研究、
フォーシャル国際歯学会日本部会会報、16:10-18,1981 |
上記3と同じ論文を、フォーシャル国際歯学会日本部会の要請で掲載したものです。
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完成智歯の自家移植
歯界展望/別冊:歯科小手術の臨床:医師薬出版、東京, 1983,
201-216
Autotransplant
ation of developed teeth |
上記3と同じ主旨の論文に手術の図解を入れました。
症例も分かりやすいものに替え、さらに詳しく解説してあります。
参考文献は2倍になり36編となっています。
この別冊は歯科小手術の基礎から各種の臨床まで、詳しい図解と解説がされています。
有名な Archer の名著 " ORAL
SURGERY " とともに座右に置きたい著書の一つです。
詳しい術式、考え方をお知りになりたい方はこの別冊をごらんになって下さい。
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完成歯の自家移植
東京医科歯科大学歯科
東京同窓会会報
95:12−14, 1986 |
上記3と同じ論文を、東京同窓会の要請で要約して報告したものです。
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根完成歯の自家移植
歯の移植・再植、
日本医療文化センター、東京
1988, 93-100
移植写真へ |
デンティスト誌の兄弟誌として不定期に発行された単行書『歯の移植・再植』に収録された論文です。
白川正順先生の編集で、「発想転換シリーズ」として多くの臨床家の報告が掲載されています。カラー写真、図解も多く良い参考書と言えます。私も上記症例の中から5症例をカラー写真を添えて報告してあります。 |
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各術式による唇顎裂形成手術について...、(共著)
日本口腔科学会雑誌:9: 1-13, 1960 |
1960年以前7年間に当時の徳島大学医学部歯科口腔外科(筒井英夫助教授)のもとで手術された唇顎口蓋裂55例について資料を調査、検討して、報告しています。K.H.Marks法が最良との結果が出されています。私の少ない経験から言っても、当時の筒井教室の手術は手際よく、結果も見事なものでしたので、日本で指折り数えられるものだと思ったりしたことでした。統計結果と、5例の経過が写真で紹介されています。 |
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繊維腫性歯肉肥大症の1例:
口腔外科学会雑誌:
5: 153-156, 1959 |
上記文献2に紹介した2症例の内の第一例(10歳女児)の症例報告です。52の文献渉猟がされ、明治32年以後の46例について紹介、病因、遺伝関係、発生頻度などが考察・検討されています。 |
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口蓋に発生したいわゆる良性混合腫瘍の2例:(共著)
口腔外科学会雑誌:5:319-321, 1959 |
28歳の男性、および60歳の女性に発生した良性混合腫瘍を経験し、摘出後組織学的検索を行い多形性腺腫と診断した症例について、その概要を報告した。文献数13
多形性腺腫は顔の外側で耳の前、お多福風邪になる耳下腺に多い病気です。それが大きくなると”こぶとり爺さん”のこぶになるわけですが、こんな物が口の中に出来ると大変ですね、
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鼻歯槽嚢胞Klestadt氏嚢胞)の一例:(共著)、
口腔外科学会雑誌:6:331-332. 1960 |
21歳の女性にみられた鼻歯槽嚢胞の1例を経験したので報告しました。組織検査の結果、嚢胞内壁は一層あるいは数層の繊毛上皮に覆われていました。
口腔領域に発生する非歯性嚢胞については、Thomaによると1.正中嚢胞、2.球状上顎嚢胞、3.鼻歯槽嚢胞、4.鼻口蓋管嚢胞、(切歯間嚢胞、口蓋乳頭嚢胞)が分類されそれぞれ多くの症例が報告されています。この症例は上顎骨の外側にあり、蓄膿症根治手術の既往歴もなく外傷性の物ではない点から胎生時の発育障害による鼻歯槽嚢胞と診断されました。 |
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口腔外科領域における
Noblon注の
使用成績
歯界展望:15:422-425: 1958 |
岡山大学医学部歯科口腔外科大学院時代のでの論文です。グレラン製薬のNoblon注射液を口腔外科手術の前麻酔および鎮痛催眠剤として20例に38回使用し、良い結果が出たので報告しました。Noblon
A は2ccの筋注後2−30分で鎮痛作用が出て約3時間は強力な鎮痛催眠効果があり、10時間以上の鎮痛効果が持続しました。前麻酔剤としても良い結果を得ていくます。副作用は認められませんでした。 |
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新局所麻酔剤Hostacain Xylo-cain、Carbocainの比較研究:歯界展望:18:1290-1294:
1961 |
徳島大学医学部歯科口腔外科での研究です。ドイツ、ヘキスト社の”Hostacain Spezial”が発売されたときの研究です。3剤とも殆ど同じ効果を示しています。自分の腕に3剤を皮下注射して麻酔の発言時間を測定したことを思い出します。
現在の臨床では、Xylocain ばかり使っています。患者の診療姿勢を水平にしてから、注射時の脳貧血は殆ど認められません。麻酔薬の中毒症状も見たことがありません。歯科小手術に使用するXylocain
の使用量は以前の半分の1ccくらいになっています。 |
| U:3 |
小児笑気吸入鎮静法の実際.歯界展望.医師薬出版、東京
1975. 594-600 |
元東京医科歯科大学久保田康耶教授らの提唱する笑気吸入鎮静法を三田ハウス歯科クリニックに来院した10歳未満の治療困難な小児600人に適用して優秀な成績を得たので報告しました。麻酔器は松本医科工業の”MORITON
MARK V”でした。導入と覚醒は子供の緊張を解くため歯科衛生士が行い、術中は術者が患者の様子を見ながら、笑気濃度を上下しました。笑気濃度はほとんど30%までとしました。処置は大体窩洞形成と、局所麻酔を併用したFC断髄でした。判定はBourneの基準を用いました。 92%が良好という結果を得ました。副作用は3例に嗜眠傾向があっただけです。施術の要領は本文を見ていただきたいのですが、術中は催眠術的な暗示が良く効きますので、美味しい風を吸わせてあげる、気持ちが良くなる、楽しくなる、楽しい夢を見る、歯医者さんなんか平気、強いなあ、賢いなあ、いい子だなあなどと子供に自信を持たせる方向に話しかけるようにしました。母親に対しては、気分が悪くなかった?とか、痛くなかった?などという、悪い方向に導く質問はしないように注いして、ほめてもらうようにお願いしておきました。
開業当初はとにかく歯の悪い子が多く大変でしたが、笑気麻酔でドンドン治すものだから、小児患者が増えましたが、それととともに大人を見る時間が減り、全体としての収入が減ってしまったのです。結局大学にお願いして、小児歯科の専門医に来てもらうことになりました。そして、驚いたことに彼らは”Hand Over Mouth Technique" を駆使して、笑気麻酔は結局使われなくなってしまったのです。その後は去る有名な漫画家や、神経質な方が希望したときにのみ使っています。 |
その他
9:3
9:12
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坊やの大病
高知県歯科医師会報
昭和39年8月号
病巣感染
同会報:昭和35年7月号
病巣感染とはグートツァイトの定義(南山堂医学大事典)によれば「細菌を有する限局性の慢性炎症によって起こされる病症であって、病症自身の症状は極めて小さいか現れない程度でありながら、病巣から遠隔の生体内で、この病巣とは直接のつながりなしに、一定の器質的に認めうる組織変化ないし機能的障害を呈する反応が経過するをいう」と言われている。
緒方(1940)は遠隔の生体内に病変を起こすものは、1.病原菌自身、2.病原菌の分泌する毒素、3.菌の分解産物であると言っている。
また、歯科領域でその原発巣としてコルマー(1950)によれば、1.慢性歯肉炎、歯槽膿漏、2.歯根膜炎、3.生活感染歯髄、4.エソ歯髄による根尖感染、嚢胞、5.感染した歯根、6.抜歯後感染、7.埋伏歯感染、8,その他、扁桃腺炎、副鼻腔炎、殆どの口腔領域の感染症などをあげている。二次疾患としては1.骨、関節、筋、腱および漿液膜の疾患(間接リューマチ等)、2.心臓及び血管の障害及び機能障害(リューマチ性心内膜炎、心筋障害、心臓神経症のあるもの、3.腎炎、4.神経痛および神経炎、5.アレルギー性皮膚疾患などがあげられている。
また、秋田(1956)も「乳歯齲蝕に起因する敗血症について」と題して日本口腔科学会雑誌5巻1号に乳歯ムシバの治療で完治した臨床例を多数報告している。 |
三歳になる可愛い坊やがお母さんに連れられて来院しました。聞けば二ヶ月くらい前から、市内の有名な小児科病院に入院していたとのことです。病気は敗血症、紫斑病、全身リューマチ、心臓弁膜症、肝臓障害それに蛋白尿の出る腎臓障害ということで、どの一つを取ってみても、悪くすれば命取りになる大変な病気です。そういわれてよく見ると、元気にはしていますが、確かに顔色が悪く見えます。まあそれでも、小児科医の強力な治療で病気もある程度落ち着き、退院できるようになったところだそうです。でも、毎日四時間毎に飲む薬と、六時間毎に飲む薬を三種類も飲まねばならず、お母さんは一日中坊やの薬飲ましにかかりっきりで、今にも神経衰弱になりそうだとおっしゃっていました。それに、全くかわいそうなことに、心臓の方は手術をしなければ十七歳までもつかもたないか分からないと言われたそうです。体格は標準以上に大きく、やんちゃも言い、可愛い盛りの坊やが、どうして大人になることもなく死なねばならないのでしょう。
話は、この坊やが急に病魔におそわれる一ヶ月前にさかのぼります。この三歳の坊やがある晩、鼻が痛いと言って泣き通したそうです。そして明くる朝になって、鼻の真下の唇の上の方が腫れてきたそうです。驚いたご両親はさっそく坊やを耳鼻科のお医者さんに連れてゆきました。お医者は、これは歯から腫れてきたのだから歯医者さんへ行きなさいといってお薬をくれました。ところが、その日はもう坊やが痛がりませんでしたので、お医者にもらった薬を飲ませただけで、とうとう歯医者へは行かなかったそうです。その後鼻の下の腫れは治まり、、お母さんはもう歯医者さんへ行くのを忘れてしまっていました。ところが、三・四週間たって今度は下の奥歯が痛くなり、そして急に熱が出て、前に書きました大変な病気になってしまったそうです。
幸い治療も早く、良いお医者さまにかかったので命だけは取り留めたわけですが、今でも黴菌が血の中を回っており、悪くなった心臓はそのままでは元のようにならないようになってしまったのです。これらの病気のもとになった黴菌は一体どこから坊やに入ったでしょう。
お医者さまは歯の横が膿んでいるから多分これから悪くなったのだろうと言って、それを治すために沢山のお薬をくれているのだそうですが、いつまでたっても治らないものですから、それでは歯医者さんに診てもらってきなさいと言って、やっと歯医者に来ることになったそうです。
診察してみますと、まだ三歳をちょっと過ぎたばかりだというのに、ムシバが六本も出来ていました。その内三本はもう神経が死んで腐っていました。これは表から見ただけでは分かり難いですが、専門家である歯医者が診るとすぐ分かります。ところが一度神経が死んでしまいますと、歯の中は腐ってしまい、再び神経が出来ることはありません。そして結局、この腐った物は外に出ようとしますが、歯の頭に穴があいてない場合には、歯の根の先から出ようとします。こうして神経の腐った物やその中で繁殖した黴菌が根の先に出て、そこが腫れてくるわけです。この際、体の抵抗力が弱っていたり、特に強い黴菌が入ってきたりしたときには、これが血の中で繁殖しだすわけです。分かりやすく言えば血が腐り敗血症になるわけです。こうして腐った血が全身を回り、これが落ち着いたところで次々と病気を作ります。心臓につけば弁膜症になったり、心内膜炎になったりしますし、関節にリューマチとして出たり、色々な病気が起こってきます。又、この坊やのように急に来ないまでも、徐々に来ますと慢性の敗血症になり原因不明の熱が出たり引っ込んだりするようなこともあります。大人も例外ではありません。
さて、話は再びこの坊やに戻ります。幸いなことにお母さんは大変熱心に、二十何回も通ってきてくださいましたので、前歯二本は抜き、奥歯は治療して腫れも引き、見事に治りました。ただ、全くかわいそうなことですが、この坊やは十七歳になるまでに、心臓の手術を受けねばならなくなってしまいました。
どうか、このようなことの無いようにお母様方は十分注意してください。要はムシバを作らないことです。子供が泣くからと言って、物を食べさせながら寝かせたりしないでください。歯にくっつく甘いものを食べさせた後は繊維性のものを食べさすとか、お茶を飲ますとかして、口の中に甘い物が長く残らないよう注意してあげてください。お子さまが寝てから、水をつけた歯ブラシで歯を磨いてあげると、ムシバ予防に大変効果があります。そしてもし、ムシバが出来ましたら、お子さまが痛いと言うより前に歯医者に見せに行きましょう。小さい内は年に三・四回診てもらいに行くことをお薦めします。
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白血病
高知県歯科医師会会報
昭和34年6月号 |
白血病は日常の臨床では余りお目にかからない病気ですが、時には歯根膜炎として出現しますので頭に入れておくことは必要です。患者は24歳の青年。主訴は下顎大臼歯のムシバと同部の歯肉の腫脹です。数日前他院で治療を受けたが痛みがやまず、転医してきたものです。急性症状は殆ど急性の顎骨炎と変わりがありませんが、歯肉の発赤はやや異常で不良肉芽の様な色で、腫脹は瀰漫生で波動なし。圧痛あり、隣接歯とともに軽度の動揺あり。排膿なし。一番の特徴は蒼白というか、土色というか、艶のない帯緑黄色で明らかに貧血を思わせる顔色でした。眼瞼結膜は血の気を失った白色。色々聞きただしている内に5ヶ月前から急性のリンパ性白血病の治療を受けていることが分かり、消炎処置をとりました。
このとき抜歯などしていれば後々大変なことになったと思います。幸い全身状態の把握、既往歴の採取が早く出来たために大事に至らなかったわけですが、患者が前医の治療を続けていればどうなったか知れません。
白血病は最近増加の傾向にありますが、一般に骨髄性とリンパ性、慢性と急性と言うような分類がされています。主訴としては口腔症状が最も多く、次いで出血傾向、貧血、発熱、歯肉出血、倦怠感、心悸亢進、リンパ節腫脹、胃腸症状、関節痛、腹部腫瘤、眩暈の順となっています。(太田、総合臨床8:2)
口腔症状は歯肉腫脹が最も多く、次いで抜歯、切開後の出血、粘膜貧血、口臭、歯肉エソ、扁桃腺肥大、潰瘍、粘膜溢血、開講障害、歯牙動揺、粘膜エソとなっています。(常葉:口腔外科学会雑誌5:1)
この歯肉腫脹は一般に前歯肉の広範な腫脹として発症する事が多いのですが、時には上記のように限局性に骨膜下膿瘍のように腫れてくることもあるので、注意しなければなりません。これは白血病性の細胞が組織内へ浸潤するために起こるもので、骨髄、脾臓、肝臓の外にも身体のほとんどあらゆる部分に起こってくる(正木:歯科評論19:8)ので注意しなければなりません。私が最初に見た症例は4歳の女の子でした。岡大時代のことですが、上司の指示に従って歯肉の腫脹を切開してから異常に気づいたもので、両親の悲嘆、幼児のあどけなさ、医学の無力さを痛感させられた悲しい経験です。このときの状景は拙著『青いモニュメント』の「子を失う母と死病の人」(275頁)に書いてあります。 |