三田ハウス歯科クリニック Copyright 2002 Mita-House Dental Clinic


トピックス
 

トピックス−II ジャーナリズムに見る歯科医療へ


日本先進インプラント医療学会 小児歯科専門医研修講演
iインプラント新技術の試み 女性ホルモン(2005,10) IAI インプラント研究会
 インプラントの使い分け ミニインプラント  インプラントの失敗
審美歯科最前線  ドライマウス  粘膜免疫
PRP:多血小板血漿 学校歯科検診のあり方 小児の顎機能異常
マウス・ガード 下顎義歯の吸着 PMTC
歯ぎしりの自己暗示療法 抜歯後欠損補充材テルプラグ 抗う蝕性物質リカルデント
インプラント 歯の漂白 歯の移植
口腔乾燥症(ドライマウス) エストロゲン療法 テストステロン療法
 

第1回日本先進インプラント医療学会      2008/08/24   於:東京商工会議所

色々有意義な講演が沢山あった。演題を記載すると
特別講演人工骨の開発と臨床応用 京都大学整形外科学 中村孝志教授
教育講演:骨粗鬆症と顎骨動態  朝日大学口腔解剖学 江尻貞一教授
シンポジウム 1:インプラント埋入法を探る 波多野尚樹 杵渕孝雄 津山泰彦 菅井敏郎 北条了
シンポジウム 2:インプラント埋入時の医療事故をいかに防ぐか  堀内克啓 高森等 椙岡宣好 松尾朗
ポスター発表 12題
などがその内容であった。印象的な演題については以下に順次報告する。

小児歯科専門医、認定医研修セミナー  2006/11/12   於:鶴見歯科大学ホール
 
演題1: 医療過失に関する歯科医の社会的責任 鶴見大歯学部法医歯学教室 佐藤慶太専任講師
  百年ほど前に制定された現行法の適用状況から法の不備、欠陥問題、例えば死亡診断書の問題、医療過誤裁判の現在の流れ、以前よりは短くなったが、それでもまだ2年以上かかっている。更に現在考えられている新しい医療過誤審議制度の進行状況、問題点などについての詳しい解説があった。
 
  法改正は現在歯科臨床をあまり知らない人たちによって進められているが、改正は実際の治療に携わる歯医者の意見を取り入れてされなければならないと、埼玉の小児歯科治療時死亡の裁判例などを引用して力説されていた。確かに、ラバーダムの多大の効用を理解しないで、小児の局所麻酔を利用しての歯科治療にはラバーダムを使うべきでないなどと言う結論を出すような裁判jには欠陥があると思った。
 
演題2:小児歯科における歯科用X線CTの応用  松本歯科大学大学院 新井嘉則教授
  歯科用CTX線装置による3D写真の供覧、解説が行われた。二次元のX線像ではわからない埋伏歯歯根の相互関係などが色々と解明されていた。また、実験動物に使うと動物を殺さないでも術前、術後の比較を効果的にすることが出来るわけで、有用な利用法だと思った。コンピュータ処理により一つのデータから、よく色々な診断が出来るものだと感心させられた。例えば、同じ映像から骨の成分を除去して歯だけの像にするとか、歯も骨も除去して唾液腺だけの像を取り出すとか、実験動物の内臓だけを映像化してその変化を調べるとか、色々の利用法があるものだと感心させられたことであった。
 
インプラント新技術の試み
   第9回IAI研究会 学術臨床発表会  2006,08,29
特別講演は川原春幸氏(大阪歯科大学名誉教授)と、永原国央教授(朝日歯科大学)であった。インプラントの植立の強さはミクロの凹凸ではなく、マクロの形態に影響される。アパトイトは骨との接着の早さにその特徴があり、骨との結合の強さには影響しない。むしろ弱くなることも考えられれとのことであった。
以下に会員からの報告で印象に残ったことをまとめておく。
1: 1回法では初期固定がほぼ絶対条件であるが、2回法では多少ルーズでも良い。(曽我)
2: 挿入部には骨からの出血が必須。腸骨移植は必ず吸収する。(小泉他)
3: 初期固定が得られなかったら、GBR後に再手術することが勧められる。(坂本他)
4: 1回法複数植立で平行性が得られなかったら、キー&キーウエイで固定する。(西村)
   支台形成すればよい。経験的に形成時の発熱は回避できる(杵渕)。サンドブラスト必要(山下)
5: マグネットを使ったとき4ミリで破損した。(高桜) 
   マグネットの位置を低くすれば良い。(山下) FDにこだわらないでPDで良い。(水野)
   3−−3あるいは4−−4ブリッジにしても良い(杵渕)
6: 歯槽骨幅径が足りないとき、3ミリを多く植えるのも方法である(杵渕)
7: 既存骨の保存拡大術(大内):ピンホールを拡大していくことにより、自家骨でインプラントの周囲を完全に囲むことが出来、しかも萎縮した歯槽骨の増大にも成功している。(白川教授の評価大)
8: サイナスリフトにHA顆粒のみで成功した。(大森) 
   BSE問題があるのでインフォームド・コンセント必要。(白川)
9: 上顎臼歯部インプラントに垂直的歯槽骨拡大を併用して上手くいった3例(藤田)
   人口骨折を行ったこの症例について白川の評価大。
10:インプラント植立3〜5年後に周囲炎を起こした症例に、炭酸ガスレザー、ペリオクリン、音波ブラシ(ソニケアエリート)、歯磨剤:プラークアウトを使って症状が改善された(杉沢他)
11:ソケットリフト植立後一部上顎洞に陥入していたインプラントが自然に元に戻った。(宮浦)


女性ホルモン 特集 : 『ゆほびか』 2005年10月号
 
このトピックスの最初の方に「口腔乾燥症(ドライマウス)」、「エストロゲン療法」、「テストステロン療法」などの記事を紹介しましたが、
健康雑誌「ゆほびか」の今月号にも沢山の事例が紹介されています。臨床では女性の更年期障害の一つとして口腔乾燥症(ドライマウス)を時折経験しますが、この雑誌にも見られるように個人の日頃の心構え,日常的な対処で大きな成果が得られていますので紹介しておきます。

 イメージで心を動かし体を美しく変えていくイメージストレッチの具体的方法が紹介されています。女性の若さ、美しさ、健康のすべては女性ホルモンにあります。イメージストレッチで女性らしい体型を手に入れたかたには、婦人科系の病気が治った、改善したという人が沢山います。また更年期障害が起こりにくいのも大きな特徴です。他にも生理痛や生理不順、冷え性、便秘、むくみ、肩こりなどの女性特有の症状が軽減したという声は、枚挙に暇がありません。ここでは両手首を突き合わせて押すとか、脂肪をもみほぐすとか、横になって上体を起こす、両足を胸の方に引きつけるなどといった簡単なストレッチの方法が写真で図示されています。体型が魅力的になって、しかも身も心も調子が良くなるのですから申し分のない方法といえます。
 
 別に天然美肌ホルモンと題して、豆乳ローションが紹介されています。ムダ毛・シミ・イボを根絶し,体臭消失、毛髪再生、バストアップなどしながら乳癌も防ぐなどの効果があるそうです。豆乳に含まれるイソフラボンなどの女性ホルモン様効果のほかにもサポニンの効果でイボも治るとのことです。文中ではだれでも5分で作れる超簡単な新バージョンが紹介されています。

 また、「セックスできれいになる」は本当で、快感ホルモンの噴出により肌や髪に潤いが戻り、寿命も延びると紹介され、カリスマホスト、作家、女優など性の達人の方々の話から、セックスの効用、もっと快感を得るためのテクニック、ひとりHの楽しみ方、セックスのエネルギーが高まり快感が得られるヨガのポースまで紹介されています。

 


IAI ( Innovational Adovanced Implant Association )研究会:第8回学術大会 (05,8.28)
 特別講演1:骨造成法の現状と近未来:東京医科歯科大学春日井昇平先生:現在骨造成のゴールド・jすたんだー土は自家骨移植であるが、将来異所性骨形成誘導因子、TGF−β、BMP、PTHなどが研究されている。ただこういった薬に対してのヒトの反応は鈍く、又大量を要するので高価なものになる。

 特別講演2:骨造成法の実際:福井市開業林正人先生:即時法では不良肉芽は十分取ること。GBRは吸収性メンブレンやチタン・プレートを用いている。狂牛病のとのかねあいも考えねばならない。ソケットリフトの際はダイヤモンドのラウンドバーを用い、若木骨折は槌打で行う。上顎前歯部の審美性回復に結合組織移植術を、口腔前庭拡張術に遊離歯肉移植術を応用しての素晴らしい治療結果が数多く報告されている。

 一般講演ではサイナスリフト症例が多数報告された。黒山巌先生のAQBインプラントHA層への細菌感染の電顕像など大変印象深い報告もあった。クエン酸によるHA層の脱灰実験、2酸化塩素による室内消毒、口臭防止、手術器具の消毒なども臨床医として良くそこまでやるなと感嘆させられるものがあった。大浦恭一先生に寄ればYAGレザーではインプラント体が高温になるので使用禁忌であるが、炭酸ガスレザーは安定しており消毒などにも使えるとのことであった。松本恭宜先生は抜歯即時インプラントはインプラント周囲の緊密縫合が難しいが歯槽骨の吸収体策、治癒期間の短縮、審美面において有効な方法だと報告されていた。尾崎和郎先生は古くなって動揺しだしたコーヌス・クローネの支台としてインプラントを入れ替え成功された症例を報告された。他に骨量1mmでのサイナスリフト例の報告もあったが、左右反対側の歯が健全な場合のみといった特殊な成功例であった。

 
インプラントの使い分け----- IAI研究会:第7回学術臨床発表会より抄録 (04,8.29)
 例年の(株)アドバンス主催のAQBインプラントの研修会が行われた。1回法と2回法は学者の間でもなお優劣がつけられていず、おそらく今後も結論は出ないのではないかということであった。又、テレスコープデンチャーの動揺しだした支台歯が骨埴の良いインプラントとの併用によって、骨植が改善されたという報告もあった、以前杵渕先生が矯正のアンカーとして利用して効果があったことを報告されていたが、工夫すれば色々の用途が出てくると思われる。

 私自身上顎前歯の残存歯が軽度の動揺していた歯列にインプラントを植立して硬くなったことを経験したことがあるが、臼歯部の膿漏による動揺歯の隣に植立した症例では日ならずして、インプラント体そのものも動揺しだして抜去するという苦い経験をしたことがある。矢張り歯周病菌の多い場所には植立しない方が良いと思う。

 なお、ハイドロアパタイトは骨植のために非常に有効であるが、逆にその針状構造は細菌感染の温室ともなるので植立に当たっては完全に粘膜下に無ければならない。当然原則としては歯槽骨の中に埋め込まねばならない。福井市の林先生は、骨の厚さにより骨外に出たHA層はインプラントを引き出してスティールバーで削り取った後再植、再縫合という術式を推奨されていた。骨の垂直性吸収に対処するにはPH1.0のクエン酸で洗ってHA層を溶解する方法もあるようだが、実際に吸収が始まってからではあまり効果がないのではないかと思われる。

 このほか各種のサイナスリフトの方法が紹介された、開業医に出来る術式には限度があるように思われた。

ミニインプラント(入れ歯維持装置)  潟Aイ・エス・コーポレーション主催  (2004,10,24)・11,23)
 Sendax MDI(義歯安定用ミニインプラント)の講習会があった。講師は京都市開業、日本口腔インプラント学会認定医、指導医、MDIチーフインストラクター日本代表の大村桂先生。MDIインプラントの特徴、インプラントの構造、埋入術式、埋入時注意点、解剖学的注意点、補綴方法などにつき豊富な症例と手術方法のビデオによる説明があった。

 その術式は、少量の麻酔後、直径1.8mmの細いチタン製ネジを歯茎の上から埋め込む。そして入れ歯の裏側に特殊な金具を付けて服をホックで留める様に入れ歯とネジを「カチッ」と簡単に留めたり外したりする。 治療は一回の来院で終了し、治療後すぐに食事ができる。また、痛みはほとんどない。

 適応症としては、入れ歯が動いて不快感がある方、硬いものやひっつくものを普通に食べてみたい方、・十分に噛めないので胃腸が弱い方、入れ歯を気にしないで思いっきり会話したり、笑いたい方などにお勧めだが、骨の硬さの関係から現在の所上顎には使えない。下顎もおとがい孔の前に最低4本の植立が必要といった制限があり、適用範囲が狭いのが欠点といえる。ただ、顎堤の吸収の大きな場合や、心理的あるいは不良な体調から普通のインプラント手術に踏み切れない場合には一つの救済方法となることが考えられる。(横矢重治記)

インプラントの失敗 ----- IAI研究会:第6回学術臨床発表会より抄録 (03,8.31)
 (株)アドバンス主催のAQBインプラントの研修会があった。 内容は主として新しく市販された2ピースタイプ・インプラントの紹介と臨床例であったが、今回特に目についたのは臨床例が増えてインプラントの安全性がさらに実証されたことであった。 数百例の植立例でも失敗、あるいは不快例は数パーセントに過ぎず、いよいよインプラントが安定した治療法として確立されてきたことを実感させられた。ここでは特にその少ない失敗例から考えられた予防方法、対処方法を紹介する。

 失敗の原因として考えられるのは1.コーティング部の不完全埋入、2.肉芽の残存による骨吸収、3.インプラントの性能不良、4.術中のミスなどがあげられている。1.コーティング部は複雑なインプラント体の形状から感染しやすいので、出来るだけ歯槽骨内に埋入し、できなくても歯肉で完全に覆うように心がけなければならない。不完全埋入では一時的な骨との結合は得られるが、骨の吸収を起こしやすいので予後の定期的診査が必須で、不幸にして吸収が判明したときにはインプラント体の除去あるいはGBRなどによる骨の回復が必要である。
 2.の場合抜歯後の炎症性肉芽の存在や隣接歯の進行性歯周病変の存在が感染を引き起こすことがあるので注意しなければならない。3.はインプラントの種類によって埋入の複雑さ、治癒期間、補綴の難易度に大きな差が見られるので適応するインプラントの選択が必要である。4.基本的な感染対策、骨損傷予防対策、免疫対策などの他にも上顎洞へのインプラントの迷入、神経、血管の切断時の対策なども勘案した上で手術に掛からねばならない。

 その他、咬合関係、咬頭干渉、歯軋り、骨粗鬆症などにも注意し、天然歯との連結は避けた方が良い。また、術中に神経を傷つけなくても、負担過重でインプラント体が徐々に沈下して、神経圧迫による症状や、場合によっては上顎洞への落ち込みもあるので注意しなければならない。術中の神経挫滅、圧迫はインプラント体をとってもすぐには無くならないが、心因性の側頭痛、顔面痛、手の痺れなどは撤去すればすぐ治るし、抗生剤や消炎鎮痛剤の投与だけでも治ることがある。

  
粘膜免疫:世界最先端ワクチン療法への夢  芝歯科医師会主催講演会 2003,11,19
    
東京大学医科学研究所 感染免疫大部門 炎症免疫分野  清野 宏教授
 免疫は生体の防御システム、環境への適合システムといえる。人体は60兆個の細胞から出来ているが、その内1,2兆個は免疫細胞であり、共生と排除のシステムを作り上げている。一般に免疫は1:全身性免疫、2:粘膜免疫に分類され、それぞれにパターン認識による自然免疫、特異的記憶による獲得免疫がある。胸腺はT細胞を作るなどの重要な役割を果たしており、一日に2掛ける10の9乗個のリンパ球を作っている。
 ただHIVビルスはそれよりさらに多く増殖している。現在世界で4200万人の感染があり、さらに1日あたり15000人の新しい感染が進んでいると考えられている。このためアフリカでは平均寿命は40歳以下になり、ハイチでは59歳から51歳にバハマでは74歳から66に下がっている。中国では2001年150万人の感染があったと言われているが、210年には1000万人になることが予測されて居る。

 粘膜免疫は目、中耳、口腔、鼻咽喉、上気道、小腸、大腸、性器などいわゆる内なる外で形成される。それら粘膜の総面積は皮膚の200倍以上あり、テニスコートの1.5面分もある。腸管の絨毛などにも沢山の免疫細胞が詰まっており、体重1kgあたり70mgのIGAが毎日作られている。乳汁、唾液などの分泌液にも多くの免疫細胞が含まれている。唾液には分泌系IgA,歯肉溝液には血清IgGなどがその例であり、腸管のパイエル板は粘膜免疫の中心的組織となっており、口腔から腸管までは「最大の免疫臓器」と言うことが出来る。また、呼吸器系も免疫系であり将来「経口ワクチン」とともに「経鼻ワクチン」の開発も予測されている。
 唾液にばい菌を殺す作用があることは聞いていたが、それが免疫の作用であることを知らされて納得したことであった。抜歯窩の治りが早いのも納得できたし、腸管の小さな絨毛の中に多数の免疫細胞が含まれているのも驚きであった。人体の摩訶不思議な治癒力をあらためて認識させられた素晴らしい講演であったと言える。


ドライマウス ----- 医科におけるアプローチ GCホームページ:コラムVol.22(03,10.31)
 
ドライマウスの病因についてコラムニスト:鈴木百合子氏の短評が掲載されている。治療法についての記載はないが、病院に行ってどこも悪くないと言われた場合などに、何か自分に当てはまる状況がないか探してみると、参考になると思う。詳細については下記ホームページの「コラムいろいろ」をご覧ください。
 http://www.gcdental.co.jp/

審美歯科最前線 基礎からオールセラミックスの最新治療まで

 12月15日(日)に東京国際フォーラム・ホールBにて、「GC友の会 東京講演会」が開催され、約600が参加した。講師は神奈川県川崎市・日高豊彦先生、福島県いわき市・小濱忠一先生、東京都渋谷区・山崎長郎先生の3名の開業医の先生。審美歯科の現状と今後の方向性について多くの臨床例を交えながら講演であった。
 日高豊彦先生は 「審美修復における原理原則」の演題で、顔貌と口唇の調和、口唇と歯の調和、修復材料の選択基準など、審美修復治療を行なう際のチェックポイントについて自作のムービーなどを絡めて講演された。
 小濱忠一先生は「審美修復における修復物の選択-失活歯に対するメタルフリー修復物の有効性-」の演題で、メタルセラミックスの利点と欠点、メタルフリー修復物(ラミネートベニアとオールセラミックス)の現状とその可能性、補綴物の光透過性および明度のコントロールの重要性などについて講演された。
  山崎長郎先生は「審美歯科最前線 -オールセラミックスの現在と未来-」の演題にて、メタルフリー修復物(ラミネートベニアとオールセラミックス)の現時点での臨床的評価と今後の展望、審美修復治療の基準点、歯周組織への影響などについて講演をされた。
 いずれも情熱を持って真摯な研究姿勢で臨床に臨まれている点に感銘を受けた一日であった。



小児の顎機能異常への対応
   日本小児歯科学会 平成14年度認定医生涯研修セミナー  2002,11,1
   田村康夫教授  朝日大学歯学部小児歯科学講座

以下講演抄録より引用
 小児歯科医にも顎関節症は希でない疾患になっている。発祥は10歳代後半から20歳代を中心にした年齢層にもっとも頻度が高くなっている。それは1:顎関節を中心にした頭頸部の痛み、2:下顎運動の障害、3:関節雑音の内、一つ以上を主要症状とする慢性疾患群の総括的診断名である。
 病因としては、過度の噛みしめや歯ぎしりなどの習癖や行動に関する因子、ストレスや感情に関与する心理的因子、顎口腔系の解剖構造に関する因子の他に咬合障害や不正咬合(噛み合わせの異常)などが考えられているが、最近ではこれらの各因子が複合して発症するという考えが優勢になっている。その低年齢化は軟性食物による咀嚼機能の低下、顎骨の虚弱化、咀嚼筋や顎関節の構造形態の変化などが考えられている。
 日本顎関節学会の分類によればT型は咀嚼筋障害を主徴候としたもの、U型は関節軟組織(関節円板後部組織 関節包 靱帯)の慢性外傷性病変を主徴候としたもの、V型は関節円板の異常を主徴候としたもの、W型は顎関節の骨の退行変性を主徴候としたもの、X型はいずれにも属さないものに分けられているが、若年者にはV型が最も多く、次いでT、Uの順となっている。
 治療法は関節雑音のみの時は経過観察することが多く、それ以外は若年者として主に保存療法が適用されている。すなわち、痛みを緩和するための薬物療法、上下の歯を直接触れさせないで合成樹脂のプレートを介在させて噛み合わせを上げるスプリント療法、低周波などの理学療法、異常な噛み合わせを改善する咬合治療などが、単独あるいは併用して行われる。よく使われるのはスプリント療法で、咀嚼筋の緊張緩和、顎・咬合位の修正、顎関節の安静などに効果がある。治療期間は半年以上に渡ることも少なくなく、再発も多いので経過観察も重要である。

学校歯科検診と事後処置の留意点
   日本小児歯科学会 平成14年度認定医生涯研修セミナー  2002,11,10
   講師:丸山進一郎 日本学校歯科医会常務理事、日本小児歯科学会常務理事 

 明治5年に近代学校教育制度「学制」が施行され、同31年には学校医が設置されている。昭和6年には学校歯科医令施行、昭和7年には日本総合学校歯科医会(日本学校歯科医会(昭和29年)の前身)が創立され、同38年には日本小児歯科学会が設立され、平成40年は40周年になるとのことであった。
 東京都大田区で開業する傍ら真摯な姿勢で児童や父兄を巻き込んで学校歯科教育に献身されている丸山先生のお話はNHK:TV番組の「課外授業:ようこそ先輩」の歯科医版を見るような感じで感動させられることが多かった。 以下講演抄録より引用。
−−−学校現場は医療者としての学校歯科医ではなく、教育者としての歯科専門非常勤職員を求めており、健常児を含む児童生徒の子供たちに大きく寄与するのはその立場であった。−−−CO・GOはう触学や歯周病学による判定度数(Coなど)ではなく、教育のための教材として認識しなければならない。学習指導要領で言う「生きる力」の獲得のために、また、オタワ憲章でしられる「ヘルスプロモーション」に基づく「セルフケア」の成育のためには、主体が児童生徒であることを我々は常に念頭に置かねばならない。−−−
 

PRPによる骨増生の応用と実際
   第5回IAI研究会 学術臨床発表会 2002,09,01

 IAI研究会は,インプラントの研究・開発と臨床を総合して討議・研鑽する会だが、今回は午後の時間を割いて今話題の[PRP」( Platelet Rich Plasma : 多血小板血漿 )の問題が取り上げられた。基調講演は白川正順日歯大教授、シンポジストは澤裕一郎(藤枝市立総合病院)、伊藤輝夫(日本歯周外科学会会長)、大屋高徳(岩手医大助教授)、堀内克啓(元奈良医大助教授)の各氏であった。
 PRPは術前の患者の血液の遠心分離により集つめられる。この凝集された血小板から放出されるPDGFやTGFーβなどの成長促進因子が創傷部の組織再生を促進すると報告されている。歯科領域では事故などによる顎骨、歯槽骨喪失部の再建、インプラント手術時の骨増生、骨移植,抜歯・歯周手術時の組織再生などの促進に効果をあげている。研究次第でさらに色々の利用法が開発されることも期待される。比較的簡単な処置で手術の効率が上がり、創傷の治癒が促進されて患者も楽になるわけだから、臨床的には非常に有用な処置方法だといえる。 省みれば、ドライソケットを防ぐためには抜歯窩には血餅を満たしておくことといった注意を理論付け高効率化したものだが、今後の日常臨床にも役立つものであることは間違いない。

マウス・ガード

サッカー、バスケットボールでもボクシングと同等の脳障害を起こします!
子供は特に注意が必要です
20010930
小児歯科学会認定医研修セミナー
 明海大学口腔衛生学:安井利一教授「スポーツ歯科医学の現状と課題」、東京歯科大学スポーツ歯学研究室:石上恵一教授の講演があった。両講演ともスポーツにおける頭部損傷の危険性に言及し、マウスガードを用いることにより実際に損傷が1/3から1/10に減少した事例を紹介されていた。
 サッカーのヘディングも時には秒速100kmで当たることもあり、ボクシング同様よく脳震盪を起こしている。脳震盪は脳組織をつぶすように働くため、だんだん起こしやすくなり、重なると、記憶力減退、計算力減少、人格の異常なども起こしてくることがあるので、出来るだけ避けねばならない。少年サッカーではヘディングを禁止している国もある。バスケット・ボールでも、頭部外傷の発生率はボクシング、レスリングとほぼ同じで25%くらいある。
 マウスガードは具体的には歯と歯の接触面積を増やして外力を分散し、直接骨に当たる力を緩衝して脳を保護することになる。また噛み締めの効果は頭部の重心移動を少なくして平衡感覚を安定さすのでバランスが良くなって競技の技能向上につながる。
 マウスガードは別名マウスピース、マウスプロテクター、ガムシールドなどとも言われ、スポーツ器具店などで簡易制作キットなどが売られているが、下手に作ると単なる違和感だけでなく、発音障害、嘔吐、唾液の多量分泌、顎間接の異常、呼吸困難などを起こしやすく、運動能力は逆に低下してしまうので、歯科医師にカスタムタイプを作ってもらった方がよい。費用は種類にもよるが、¥3,000から¥10,000程度必要となり、使う回数により、3ないし6ヶ月毎に補修あるいは新製が必要となる。(三田ハウス歯科クリニックでは¥7,000)
 制作時の注意点:前歯から臼歯まで完全に覆う。高さは安静空隙量がよいが、普通前歯部で2〜4mmとなる。9mmまでの挙上は下顎頭の移動は起こさない。臼歯部に穴があかないように注意。小臼歯部の中心結節は何回かに分けて落としておく。

 
顎総義歯の吸着
2001年度 GC友の会 コミュニティ 東京講演会 0128 収録
演者:調布市開業:阿部二郎先生
 スナップ印象には独自に工夫した臼歯部枠無しトレーを使う。印象法は総て閉口印象にし、4点の突起付き蝋提で仮の咬合採得した後精密印象をはじめる。下顎はソフトライナーとエクザデンチャーで、機能印象をする。上顎は無圧を基本とする。人工歯配列は@頬舌的には下顎顎堤の中央とする。A大臼歯部から後方頬側研磨面はやや凹にする。B舌房を十分に確保する。C下顎前歯部2112の歯頚部は凹にする。レトロモラーパッドの頬側付け根のスジは避ける。噛み合わせが悪いときにはこの義歯を治療義歯として再度義歯を作る。後顎舌骨筋窩に床を伸ばす。全体として、舌と頬粘膜で義歯床が包み込まれるようにする。
...受講した感じでは「フレンジ・テクニック」の一手法と考えても良いと思ったが、その情熱には拍手。
 PMTC
ーProfessional Mechanical       Tooth Cleaningー
 2001年度 GC友の会 コミュニティ 東京講演会 0128 収録 演者:所沢市開業:内山 茂先生
 直訳すれば、「専門家による機械的な歯の清掃」ということになり、歯科医が普段行っている歯石除去などの歯周病処置がこれに当たる。ただこれを色々な専門的な器具や方法を使ってもっと徹底的にしようと工夫された治療法をPMTCと呼称している。専門家による”丁寧なオーラル・ケア”、”サロン風ツース・ケア”とでも言ったらよいだろうか。治療の気持ちよさを前面に出している点、時代にあったサービス精神旺盛な、患者の立場に立った治療法と言える。ネイル・サロンやフット・サロンが人気のあるこの頃、一考に値する治療法ではある。
 以下に内山先生の講演をごく簡単に要約しておく。
 PMTCの効果:1.口腔衛生の動機付けが出来る(口腔清掃の必要性、ホームケアの不十分さの自覚)。2.歯科疾患の予防(プラークの付着、カリエス、歯周病の抑制)。3.歯科疾患の治療(初期カリエスの再石灰化促進、進行抑制、歯肉炎・歯周病の改善)。4.再来院への動機付け(爽快感、予防効果による信頼関係の確立)。
 PMTCのステップ:1.プラークの染め出し。2.研磨剤の注入または塗布。3.隣接面の清掃・研磨。4.頬舌側面・咬合面の清掃・研磨。5.歯面・歯周ポケット内の洗浄。6.フッ化物塗布。
 PMTCのポイント:1.急がない。2.傷つけない。3.痛くしない。
 PMTCの売り:爽快感と快適さ即気持ちよさ!
歯ぎしりの自己暗示療法 
 谷口威夫著「ブラキシズム」
 日本歯科医師会雑誌:2000年7月号
:49頁−54頁より引用


歯ぎしり
パンフレット詳細へ
 谷口先生は歯ぎしり対策を第一選択することで、総ての顎関節症、ほとんどの知覚過敏症,歯肉クレフト、頭痛症、受験生の原因不明の習慣性嘔吐、舌痛症を快癒させています。先生の推奨する壁付きリラクゼーション型オクルーザルスプリントと、この自己暗示法の併用は効果的だと思われます。  (2000.08.23
指導法
 ”  呼吸に意識を傾け、吐く時に脱力するのを繰り返しながら、手足やお腹が暖かくなってくるのを感じてください。又、吐くときに自分がリラックスできる言葉を唱えるのも良いでしょう。たとえば「リラックス、リラックス」「いい気分、いい気分」「楽だ、楽だ」など何でも良いです。また、「噛んではいけないぞ」「歯を合わせない」「開いて寝る」などと言い聞かせます。 そして、次の朝、今ある総ての症状が無くなって、すっきり爽やかに目覚めるあなたの姿を姿をイメージしながら眠りに入ってください。”
抜歯後欠損補充材
テルプラグ

真皮欠損保護材
テルダーミス
 テルモ(株)からコラーゲンによる真皮欠損保護材テルダーミスと、抜歯後欠損補充材のテルプラグが発売されている。抗原性が少なく操作性がよいので、歯科口腔外科関係でも利用価値が大きい。歯科大学関係の臨床試験も多く良い結果を示しているので、その内健康保険にも適用されるべき素材だと思う。テルモ(株)から配布されている児玉利朗博士(神奈川歯大卆、鹿児島市開業)の著書『新MGS法』は、多数の臨床例を鮮明なカラー写真を用いて解説してあり、参考書として秀逸。 00/07/19
  11月12日に(株)森田主催の児玉利朗博士のセミナーに参加しました。”歯肉歯槽粘膜形成術”の概念と術式、臨床応用などにつき、詳細な説明を受け、多数の症例スライド供覧、模型実習も含めた手術での細かい注意点説明もあり、有意義な一日でした。自分では考えたことがなかったのですが、付着歯肉と非付着部の歯肉:歯槽粘膜は全く異なる性状をもち、そのコントロールが顎堤形成術の成否に大きく拘わってくることを教わったのは大きな収穫でした。一般にこういった先進技術の講演会では演者は知識の出し惜しみをするものですが、児玉先生は日頃の豊富な臨床例に基づき詳しく説明されていました。今後のご活躍に期待したいと思います。
  テルプラグも私の少ない経験ですが、埋伏知歯の抜歯窩に入れると、疼痛、出血が少なく予後が大変良いように思います。
抗う蝕性物質
 リカルデント

GC友の会
インターネットだより(2000.5.2,vol.34)
より引用

 最近、予防歯科領域で話題になりつつある「リカルデント」についてご紹介します。
「リカルデントTM(CPP-ACP)」は牛乳タンパク質から得られたカゼインホスホペプチド(CPP)と非結晶性リン酸カルシウム(ACP)による複合体です。CPPはACPをエナメル質の中まで安定して運ぶための物質でACPがカルシウムやリンを補う物質です。
 これまでの再石灰化のメカニズムと異なりリカルデント成分が歯質に直接リン、カルシウム成分を送り込むことで歯質の再石灰化を促進し、初期う蝕を修復する効果があります。

 横矢注釈:虫歯菌や酸性環境で溶けはじめた歯の表面を再石灰化してくれますので、歯磨材、チュウインガム、塗布薬などに応用すれば、ムシバ予防効果が大きいと思われます。
インプラント
Q&A
質問:1
> 「人工歯根の埋め込みは簡単にできるのでしょうか?」(愛媛県:大三島町
> 男性 40才〜44才 公務員  さんの【相談・質問】
> 虫歯で歯根が短くなってきたため、左下奥歯を抜歯してしまいましたが、噛み
> 合わせが悪く、左ではものが噛めなくなりました。隣にあった親不知もありま
> せん。ブリッジはできないと思いますので、人工歯根しか思いつかないのです
> が、簡単にできるのでしょうか。抜歯後、何ヶ月でできるのか、入院の有無、
> 治療費なども教えていただければと思います。
お答え
 特に全身的な病気のない方なら、すぐにでも人工歯根を植える方法もありますが、
普通抜いた場所が平らになってきたら植えても良いと思います。普通入院は必要有り
ませんが、しばらくはその場所で食べられなくなりますので、体調の良いとき手術す
ればよいでしょう。費用は植える人工歯の種類、上に作る歯の種類、手術の難易度な
どによって色々ありますので、歯医者と直接ご相談になって下さい。一般的には一本
につき25万円前後だと思います。
質問1−2    34歳 女性 OL    からだネットへの質問     topi-0202
  最近になって、急に歯周病がすすみ、下の前歯4本以外の歯がぐらついてきました。歯周病がある場合でもインプラントは可能なのでしょうか?
お答え
  年齢的に歯周病の進み方が早すぎるように思います。糖尿病などの全身疾患がないか調べてもらってください。タバコを吸うと歯茎などの末梢血管が収縮して抵抗力が弱くなります。歯軋りも歯周組織に無理が行きます。こういったことがあると、インプラントをしても黴菌に感染して長持ちしませんのであまりお勧めできません。
  実際、まだ歯を抜くと決まったわけではありませんので、まず大学病院などで歯周病の治療を受けてから、対策を考えてもらった方がよいでしょう。
質問:5 Hさん  33歳女性    HPへの直接質問       topi-5-020220
  歯が上下3本ずつありません。いずれはインプラントにしようと思っているのですが骨の量も少ないので移植も必要かとおもいます。本や新聞などで失敗のことも書かれていてとても不安におもいます。まだ30代なので長くインプラントが使えれば幸いなのですが、もっても10年と聞きましたがもたないというのはどうゆうことなのですか?抜け落ちてしまうのですか?ぬけてしまったらそこはどうなってしまうのですか?高い費用を払っても10年もしたらだめになってしまうというのはやはりつらいと思います。
  移植は難しい手術なのでしょうか?顔面麻痺や額関節症などはないのでしょうか?また私は東京都下(多磨地区)に住んでます。近くにインプラント専門の良い病院はございませんか?お忙しいところすみませんがご返事おまちしております。
お答え
  上下6本も歯がないと噛むのに大変ですね。普通保険で治す場合にはブリッジか取り外しの義歯を入れます。それが辛抱できないときには自費でインプラントを入れたりするわけです。最近のインプラントは骨に良くくっつきますので、タバコを吸うとか、糖尿病があるとかいうことがない限り10年以上持つようです。移植は自分に余分な歯があれば出来ますが、手術方法によっては自己免疫の反応で、早く抜けてきたり、根っこが吸収されることがあり、インプラントよりは寿命が短いと思います。
  インプラント手術で顔面麻痺を起こして顔が曲がるようなことは殆どありませんが、手術で神経を傷つけたときに知覚麻痺を起こして半年くらい唇がしびれることはあるようです。顎関節症はかみ合わせの問題ですので、手術とは関係ありません。
  多摩地区での専門医ははっきっりしませんので、お近くの歯科医師会に電話してみてください。東京都西多摩歯科医師会:0428−23−6222,東京都八南歯科医師会:0426−35−8463等があります。
  なお、私がHP検索で調べたところでは、登戸駅ちかくの”グリーン歯科クリニック”(044−934−8239”でも、良い助言が得られると思います。インプラントにこだわらず良い治療法を考えてくれる歯医者さんが見つかると良いですね。
  
T  人工歯根・インプラントについて
サーゴン
インプラント



 人工歯根には色々ありますが、このインプラントの特徴は抜歯したその日に植え込んで、歯を作り上げることが出来ることです。したがって、忙しい方、早く作り上げたい方に向いています。
 本体はチタン合金で出来ており抜歯創を利用して本体を差し込み、ネジの操作でその先端を開いて骨に固定します。従来のインプラントが骨に固定されるまで、2ヶ月から6ヶ月かかったり、2度の手術を要したのに比べ、大変早く完成されるところにその最大の利点があります。
 金属の先端が開いているために強い力で噛む奥歯ではいささか力不足の感が否めません。また、ジョイント部の複雑さの故に、他のインプラントよりも感染の危険性が大きいと思われます。
 こういった欠点を補うために色々な工夫がされて特許権が設定されており、1本50万円前後と、高価な物になっています。
 最近下記のAQBインプラントでも即日あるいは短期間で最終仕上げまで持っていく試みがされ、良い結果が得られています。(IAI研究会第3回学術大会報告)価格は半分くらいで済みますので、これがお薦めかも知れません。
AQB
Implant



症例写真

メーカーによる詳細説明
 1回法のハイドロキシアパタイト・コーティング インプラントです。チタンボディーはネジ形の凹凸を切ってあり、その上に多孔質のアパタイトを溶射してあるために骨との接着性が良く、挿入手術後2・3ヶ月で上部構造(歯)を作ることが出来ます。歯列矯正の固定源にも使えるくらいですから、相当強固に骨と接着していると思われます。価格も、上部構造ともでサーゴン・インプラントの半額くらいで出来ますので、お薦めと言えます。

 
 手術後は原則的に単独植立のまま放置と言うことですので、すぐにそこで食べるわけには行きません。ただ仮の冠や義歯を装着して食べることは出来ます。即時荷重についても色々試みられており、あまり問題はないようです。もちろん口腔清掃は他のインプラント同様十分気をつけねばなりません。なお、糖尿病、高血圧、高齢、ヘビースモーカーの方など、従来インプラントが難しいとされてきた方たちにも、組織との結合性の良いこの種のインプラントは適用されるようになりました。また、対合歯とのあいだに隙間が少ない方には上部構造か作れませんが、咬合高径の回復によりインプラントが行われるなど、色々の工夫が試みられていますし、インプラント体についても直径を大きくして、長さを短くした物も発売され、適用の範囲が広がってきています。。
その他
ITI,、IATなど
骨内法のインプラント
 ブロンネマルクの開発した骨内法によるインプラントはそれまでの骨膜下法やブレード法、セラミックによるインプラントの欠点を一挙に補う物として、発表され、成功を収めてきていますが、2次手術までに6ヶ月間を置かねばならないという欠点がありました。これを解決するために色々の工夫がされて、各種のインプラントが販売されています。上の二つもそうですが、これ以前のインプラントにも結構成功例はあります  長期間を要する。
下唇麻痺になることあり(手術損傷)
上顎洞へ抜けることあり(骨が薄い)
糖尿病、骨粗鬆症、煙草は駄目
植立空間の狭い場合
口腔清掃の悪い人
歯ぎしりする人(無理なかみ合せ)
神経質な患者(後のクレームが多い)
骨膜下
インプラント

 1974年にロスアンジェルスのビヴァリーヒルズにあるDr.Ehrlich とDr.Birnkrant のオフィスで2日間のインプラント・コースを受講したことがあります。主として合金のフレーム・ワークによる骨膜下インプラントでしたが、医師による大がかりな骨膜剥離手術や、他院での失敗例などを見て、これは日本人に向かないと感じたことでした。このインプラントはすでに1956年出版の Archer の名著”口腔外科学”にもほぼ完全と言っても良い図面と写真で紹介されていますので、当時の最良の手術だったと思われます。  手術は骨膜を剥離して骨の形を取り、フレーム製作後の埋め込みのために、さらに再手術を要するので患者に与える肉体的・精神的負担が大きい。また、顎の骨は生き物でありネジ止めしても噛む力の方向によって本体が移動することが多い。失敗例の多くはこのフレームの移動と、局所の血行不全による骨の破壊から起こされる。
ブレード
インプラント
 Linkow の 推奨によってこの葉状のインプラントは一時期日本でも多数の賛同者を得て、広く使われ、良い成績を残しています。ただ、手術創が大きく、術式が難しいことなどから、今のところ日本ではブロンネマルクの方法とその亜流が主流になっていますが、材料などの改善により再度日本でも講演会が開かれたりしています。  比較的大きな葉状の本体を骨の中に入れるため、血管や、神経を傷つける危険性が大きく、一般開業医には取っつきにくい。失敗したときの摘出手術が難しいなどの欠点がありますが、最近当のDr.Linkowが日本で講習会をするということですので、また、新しい工夫があるものと思われます。
セラミック
インプラント
 日本で製作され比較的安価で、手術が優しい点、一般開業医でも使いやすく、私も20例ほど経験していますが、前歯部では結構10年以上使われています。  材質的に金属に比べると弱く、折れやすい。骨との接着性が弱い物もあり、単独で植立出来ない物が多かった。一般に臼歯部での失敗例が多く、いつの間にか使われなくなりました。
漂白Q&A











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質問:9 「いくら位かかるんでしょうか?」(長野県:更埴市)
> 女性 35才〜39才 会社員 小山さんの【相談・質問】
> 前歯2本のうち1本はさし歯なんですが、もう1本が黄ばんでいて気になりま
> す。 今はさし歯にしなくても、表面を削って何かをはめ込む(?)やり方が
> あるようですが(よく芸能人がやっているみたいな)金額はどの位かかるので
> しょうか? あと、煙草は吸わないのですが、コーヒーや紅茶をよく飲むせい
> か、歯の裏側が 汚れています。 市販の煙草のヤニを落としてくれるタイプ
> の歯磨きを使っても落ちません。 教えてください。
お答え
 黄ばんでいない方の差し歯はいくらくらいかかった物でしょうか。同じ物を作って
もらえば余り目立たなくなると思います。表面だけ削ってコンタクトレンズ用のセラ
ミックを張り付ける方法もありますが、技術料などの点から全体にかぶせる物より高
価になると思います。歯の着色は保険の歯石除去で取ってもらえると思いますが、単
に綺麗にするだけの場合は自費になります。歯の漂白には色々の方法がありますの
で、以下の項をご参照下さい。

歯磨き剤
 歯科医師の指導により、市販の歯磨き剤よりやや強力な漂白剤を使って歯ブラシで歯を磨いていただきます。ムシバ予防のためフッ素入り歯磨きとの併用が必要です。(指導料とも¥3,000)
 別に出かける前に5分間だけ歯に塗る漂白剤(¥4,000)や、30分間歯に張り付けておく漂白剤のフィルム(¥28,000)などもあります。
 赤ワイン、コーヒー、紅茶、煙草、年齢による自然の変色などに有効です。人工歯には効果がありません
 
 自分の歯をどの程度白くしたいか、どの程度根気が続くか、歯にしみるか、しみないかなどによって使い分けが必要です。

漂白
システム
 歯科医師の指導により歯を磨いたあと、自宅で特殊なトレーを使い、5分ないし15分間歯の漂白をしていただきます。期間は7日から10日ですが、これもフッ素入り歯磨きとの併用が必要です。(指導料とも上顎前歯のみ¥9,000から、全顎¥36,000) 後戻りを回復するために半年後のチェックと簡単なな再漂白が必要になることがあります。   歯の漂白システムには色々ありますが、ADAに承認された個私トレーを用いる方法だとより効果的ですが、トレーを作るために少し高価になります。漂白後は上記の歯磨き剤で維持しますが、再漂白のための追加薬剤購入が必要な時には約2ヶ月分で¥6,800です。


治療椅子上での漂白
”松風ハイライト”を利用して歯面の漂白をします。1回30分で1週間毎5・6回の来院が必要です。(1顎6歯単位1回\12,000)  適応は歯面研磨で除去できない加齢による変色、コーヒー、煙草、茶などによる変色、全身疾患による軽度の変色歯などです。呼吸器疾患のある方、妊娠中の方はできません。
漂白後は喫煙、着色性飲食物が制限されます
 禁忌症例:ムシバのある歯、エナメル質に亀裂のある歯、形成不全で実質欠損のある歯、象牙質の露出した歯、知覚過敏の歯など。漂白には限界があり、個人差があります。治療後に着色原因が取り除かれない場合には後戻りすることがあります。

セラミック

ラミネート冠
 薄い陶材を歯の表面に張り付ける方法です。最近接着剤の進歩により目のコンタクトレンズのように薄く、自然の歯に似た透明性のあるセラミックを張り付ける技術も開発されています。これは前歯にも臼歯にも適用されます。
 従来のジャケット冠は全体に覆せていましたので歯の切削量が多かったのですが、コンタクトレンズラミネートはわずかな歯の切削で済みますので為害作用も少なく, 痛みもないため術式も簡単で短時間で出来るようになりました。

 最近はセラミックより安価な合成樹脂によるラミネート冠も開発されております。
 ただ、変色の強い歯はその色を隠すために切削量がやや多くなります。また前処置として歯の漂白をして置いた方が良い結果が得られます。セラミックそのものも薄いため、硬く仕上げる工夫がされています。残念ながら現在のところ、目の場合のような既製品、強化プラスティックの製品がありませんので、高度の焼成技術が要求され、高価な物になっています。近い将来の既製品開発が望まれます。

セラミック
メタルボンディング冠
 表面を削った歯に白金などを覆せ、その上に陶材を焼き付ける七宝のような構造になっていて、丈夫ですので、単冠や欠損部のブリッジによく使われている方法です。
 歯頚部の形成を上手くすれば綺麗で長持ちしますが、コンタクト・ラミネートのような自然な透過感は少なくなります。
 ラミネートと違い歯槽膿漏、加齢などにより歯の根元が歯肉から出てくると歯根の着色部が見え出すなどの欠点があります。

レジン前装
鋳造冠
 表面を削った歯にパラジューム合金を覆せ、その上に耐摩耗性の硬質樹脂を焼き付ける構造になっています。健康保険で前歯に使われている方法です。


 最近は材質的に改善され、色、耐久性が良くなってきていますが、セラミックのような歯に似た質感や艶は出ません
V 歯の移植
Q&A 質問:
「歯牙移植について」
【相談・質問】女性 20才〜24才 神奈川県:横浜市:主婦

 歯牙移植をしようとおもっているのですが、 22歳なのですが、保険はきくのでしょうか?あと、虫歯の歯をぬいてから何日後くらいに移植するのです? あと固定しておく期間はどのくらいですか?移植後どのくらいで、 くっつくのでしょうか? あと、今すぐ移植するとして、来年ではもう自分の歯とかわりなくなりますか? 来年、妊娠出産を希望しているのですが、問題ありませんか? おしえてください。おねがいします。

お答え
 歯の移植をして自分の使える歯を活用するのは良いことだと思います。ただ、植える場所、歯の形の問題もありますので、レントゲンを撮ってもらった上で、歯医者さんとご相談になってください。保険の問題、固定期間はアンドー歯科医院さんの仰るとおりです。移植は一般に虫歯を抜いた日にすぐに行います。最終処置は、1−2ヶ月経過を見て決めますが、普通移植した歯は健全歯ですので、冠をかぶせる必要はありません。歯髄(いわゆる歯の神経)の炎症反応が起こったときには、歯随を取ってその後に充填処置をすることがありますが、そのころには他の歯と同じように使えます。来年の妊娠は問題有りません。

質問:3
「移植した歯には保険がきかないのでしょうか。
女性 30才〜34才 会社員 Hatano さんの質問

  初めまして。33歳の女性です。一年ほど前に受けた移植治療の件でご相談させてください。  一年ほど前、虫歯になった自分の歯を一度抜いて、悪いところを削って、30分以内に戻せばもう一度くっつくから、という説明で、移植治療を受けました。  上に仮の歯を入れて、数ヶ月様子を見て、治療は成功したようでした。2万5千円(自費)でした。その後、移植した歯(かなり小さい)を土台に、仮の歯ではなく、新しい歯をつくるという段階になって、初めて、それ以降の治療は、保険がきかないと知らされました。  一度抜歯した歯は、保険上では、もう存在しない歯になるから、そこからの治療は、すべて保険が使えない。歯を入れるのも、セラミックの一本10万近くかかる差し歯のみになる、ということでした。  事前の説明がなかったことと、数年ぶりに通ったその先生の治療方針が、自費優先(上記以外にも、保険治療をほとんど受け付けてくれなくなっていました)になっていたことに、すこし驚いてしまって、すぐにそんな大金を用意できなかったとこともあり、それから通院を見合わせてしまいました。結局、仮の歯のまま、一年経ちました。  移植した歯が小さかったので、あまりほおっておくと歯茎に埋もれてしまう気もするし、早く上に仮の歯ではなく、ちゃんとした歯をかぶせなくては、と思うのですが、こういう変わった治療の途中で、歯医者さんを変えてもいいものかどうか、保険はほんとうに使えないのかどうか、など、わからなくて困っています。  歯医者さんのご意見が伺えるとうれしいです。よろしくお願い申しあげます。
お答え
  歯の移植は健康保険の解釈上難しい問題です。厚生省の方針では歯根の未完成の歯のみ保険の適応症となっています。したがって厳しく解釈すれば、33歳では未完成の歯は無いはずですので保険適応外となりますが、患者に同情的な先生が審査した場合には「未完成の可能性もある」と、解釈してくれることがあります。
  あなたの場合、治療のためにある場所の歯を抜き、ふたたびその場所に返したわけですから「移植」でなくて「再植」になりますが、この治療法はまだ保険では認められていません。ただ、外傷などにより歯が抜けた場合にはどの歯でも保険治療で再植できますので、歯医者さんの中にはそのように解釈してくれる方もいるようです。融通の利く患者さんなら別の歯医者さんに行き、なにも言わずに保険で治療してもらうでしょう。


Hatano さんからの再信
  まるで、裏技のような(!)、たいへんためになるご意見、とても参考になりました。移植に関しては、歯科医の方によっても、「保険がきく」「きかない」と、さまざまなご意見を拝見するので、かなり混乱していたのですが、先生のご回答をいただいて、なるほど、と納得できました。
  解釈が難しい問題だからこそ、それぞれの先生のご意見もどうしても食い違ってきてしまうのですね。その概略を分かりやすく説明していただき、対処の仕方も示唆していただいて、ほんとうに、助かりました。ありがとうございました。
  先生のご意見を参考に、また治療にあたりたいと思います。ご相談させていただいて、よかったです。お礼が遅くなりまして、申し訳ありませんでした。先生も、これからもがんばってくださいませ。
ほんとうに、どうもありがとうございました。
質問:4   sub6-ishoku4-020204
「歯の移植とは?」
  女性 20才〜24才 学生

  始めまして。私は歯が質的に弱く、虫歯が多い上に歯茎も弱っています。右上奥から2番目の歯が今特に悪く、歯科医師にはインプラントを強くすすめられました。い大変な事で不安もありますし、費用も25万円程かかるそうで、親には保険の範囲でする方がいいとも言われています。そんな時、歯牙移植と言う言葉を聞きました。インプラントより良い場合も有る、費用も三万円から、と言うことなのですがイマイチよく実態が掴めないので、お教え下さい

お答え
  歯の移植は現在のところ自分の歯を使う方法が取られています。従って、自分の顎の中に余分な歯があればそれを移し替えることが出来るわけです。たとえば、親知らず、過剰歯などが移植歯として使われます。残念ながらそれがない場合には、義歯あるいはブリッジになります。これらは保険でも出来るので、簡単に安く作れます。インプラントは高価ですがそれなりに良いところがありますので今の歯医者さんがお勧めになっているのでしょう。とりあえず保険で治して置いて、余裕が出来たらインプラントに直すと言うことも出来ます。  移植については、私の以下の移植説明、移植写真などをご参照ください。
質問:2−2 sub6-ishoku2-2-0203
「他家移植:娘の余分な歯をもらいたい」
  女性40歳代主婦
  はじめまして、質問させていただきます。右上側切歯を歯根破折し、今再植経過観察中です。この歯をいよいよ抜歯という事になったとき、今ふたつの方法を考慮中で、ひとつは自分の下2番の叢生?歯を移植するか?18の娘が矯正をそろそろはじめるにあったって、右上2が奥にはいりこんでいるものを他家移植するか?ということですが、専門家のご意見をおききしたいものです。遠くの知人の医者はインプラントをおこなえる歯医者さんならば他家移植は可能でありだいたい5万円前後ではないか?ということですがどうでしょうか?教えていただけたらと思います。よろしくおねがいします。じっさいに歯医者さんもご紹介していただけたら、さいわいです。

お答え
  自分の歯の移植がよいと思いますが、下の抜いた場所の小矯正が必要になると思います。その場合、移植料と、小矯正料を合わせると、インプラントの費用と同じくらいになりますので、簡単に済ませたいなら、インプラントの方がよいでしょう。お嬢様の矯正の場合、右上2の抜歯をすると、歯並びがかえって悪くなりますので、普通左右4の抜歯をして矯正します。その4を利用するなら、可能だと思いますが、親子間の歯の移植はまだ報告を見たことがありません。失敗する可能性もありますが、そのときはインプラントなどに変えればよいわけで、臨床家としては一度試してみたい症例ですね。ただ歯根の形が大分違っている場合には無理しない方がよいと思います。レントゲンで良く確認してもらってから決めた方がよいでしょう。  手術をする歯医者については、インプラントのできる歯医者なら誰でも出来ますので、矯正医と相談して、HPなども参考にして、お決めになってもくださ
い。
即時自家移植  歯の移植については色々の方法があり、古くから行われていますが、私が昭和53年に『徳大歯科口腔外科年報』に「完成智歯自家移植の臨床的研究」を報告し、即時自家移植の考え方、術式を発表して以来多くの追試が行われ、良い成績が得られています。
 この移植法の原理は要するに免疫学で言うところの変化した自己”を作らないと言うことにつきます。具体的に言いますと、細菌感染、施術損傷,乾燥、薬剤侵襲、付着異物、外傷性咬合を出来るだけ少なくするよう工夫するわけです。その詳細については、色々書きましたので、文献抄録を参照していただきたいと思います。
 なおこの自家移植は最近も多くの先生が研究され、講習会も開かれておりますので、更なる改良、理論付けがされているようです。ちなみに、GC友の会横浜講演会(4月23日)には「自家歯牙移植の利点」と題して下地勲先生の講演があります。
失敗例について
 一般的に自分の歯を使うわけですから、右の項に書いてある”変化した自己を”作らないように注意すればほとんど成功し10年以上活着しています。ただ、歯ぎしりの傾向のある人は難しいようです。
 術中の注意は歯根膜に触れないこと、手早く再植すること、咬合は低目にすることなどです。抜随は根尖病巣が出来た場合など、必要があれば2週以後にします。歯髄壊疽は咬合痛、X線検査で発見できますので、それからの処置でも遅くはありません。あくまで、歯根膜の保護を優先します。根尖病巣のない歯髄の壊死,変性はそのままでも問題はありません。
 もちろん、リュウマチ、膠原病、糖尿病、骨粗鬆症など、全身的疾患のある方は避けます。移植歯根の変化を経年的に見ていますと、特に根尖部分の微妙な変化が目に付きます。病的な全身的抗原抗体反応の原因となっていないか、十分な観察が必要です。
W 口腔乾燥症 (xerostomia) 主として更年期以後のご婦人に多い症状です。唾液の分泌が少なくなり、色々の障害が出てきます。

 症例写真へ
  昔は「血のみち」などと言われたようですが、更年期障害には色々の症状があるようです。顔がほてる、汗をかきやすい、腰や手足がひえやすい、息切れ、動悸がする、寝付きが悪い、または眠りが浅い、怒りやすく、すぐいらいらする、くよくよしたり、憂鬱になることがある、頭痛、めまい、吐き気がよくある、疲れやすい、肩こり、腰痛、手足の痛みがあるなどの症状がいくつか絡み合って出てくるようです。
  口腔症状としては乾燥、灼熱感、潰瘍、唾液減少、味覚異常、水摂取量増加、咀嚼困難、ムシバの増加などがあり、入れ歯の下がいつまでも痛い、舌が痛い、食べ物がたまる、何となく具合が悪いなどと言って、歯医者を悩ますことになります。
  こういった不定愁訴のような症状を訴える方に一度試してみる価値のある治療法がありますのでご紹介します。昔から「血のみち」の治療法は漢方薬や、ホルモン療法が色々試されているようですが、右の論文には口内乾燥症にエストロゲンが有効と明記されています。
  報告された症例は51−54歳の女性4例です。主訴は舌痛3例、苦み1例で、閉経後4−24ヶ月、口腔症状数カ月以上の方です。結合型エストロゲンの内服剤(2.5-5.0mg)投与は産婦人科で行われ4−6週で自覚症状が消失しています。
  この報告では耳下腺と顎下腺機能を測っており、耳下腺の機能亢進を認めていますが、舌痛症との関連を示唆してはいます。
  なお、必ずしも満足な結果が得られているとは言い難いが、以下の薬なども口腔乾燥症の治療に使われているそうです。−− ビソルボン、セファランチン、パロチン、人工唾液(サリベート)、チスタニン、フェルビテン、白虎加人参湯、麦門冬湯−−

  私の経験はまだ1例ですが、上下総義歯の73歳の女性。舌の裂溝形成,舌および口腔粘膜の発赤、知覚過敏で義歯は入れられず、醤油がしみてお寿司も食べられないと嘆かれていましたが、内科医に依頼して、エストロゲン、パロチンの内服を2週間つづけたあと、インプラントを装着したところ、いずれの症状も軽快して、「何でも食べられるようになった」と喜ばれています。  
  口腔乾燥症はシェーグレン症候群の一症状としても発現し、リューマチ様関節炎、目や性器の乾燥症、凡発性紅斑性狼瘡、ベーチェット病、肝疾患、膵疾患を併発することもあるそうですので、全身症状には十分注意が必要です。女性は男性の8倍、10歳代からも見られ、20−60歳代に多いという報告もあります。
今回引用した文献
老木浩之ほか共著:エストロゲンによる唾液分泌能の変化:耳鼻臨床 88:11; 1433-1438, 1995
(上記抄録は「三田ファーマシー」の好意による検索論文集から収録したものです
  ただ、エストロゲンなどの少量長期内服療法;ホルモン補充療法;HRT( hormone replacement therapy )は、誤った投与法で乳癌、子宮癌の発生率を上昇させることがあるので、安易な投与は危険であり、産婦人科医による診断と、治療が不可欠である」とのことですので、特に長期になりそうなときには産婦人科医と共同で治療を進めることをお薦めします。

 下欄にエストロゲン療法についての読売新聞の記事を載せておきます。これで見ると副作用の方は軽微で、むしろ利点の方が多いと書かれています。口腔乾燥症に使う場合には2−4週と短期間で効果の出ることが多いようですので、利用価値のある治療法だと考えられます。

 今年の日本歯科医学会総会での、東京歯科大学眼科学教授:坪田一男先生の講演では、涙腺と唾液腺は同じメカニズムで働いていて、その乾燥症も関連性があるとのことです。涙腺細胞の自殺を止める”Z−VAD”と言う薬が、開発されているそうで、この方面からも、口腔乾燥症の治療薬が出来る可能性があります。尚、先生はドライアイ、角膜移植の世界的権威で、多くの賞を授与されています。坪田先生のHPへのリンクはここをクリックしてください。ご家族に失明のおそれのあるドライアイの方がいらっしゃる場合には早速受診することをお薦めします。なお、講演後の質問に対する回答で坪田先生は「アメリカでは女性ホルモンのエストロゲンだけでなく男性ホルモンのアンドロゲンも使われており、結構効果を上げている」と話されていました。
読売新聞記事
  平成12年3月6日

月経不順、ほてり、
イライラ、疲労感

「更年期障害

 
薬で改善

堀川 真理子

 発汗やいらいらなどで中年女性を悩ませる「更年期障害」。欧米ではこれに対し、「ホルモン補充療法(HRT)が広く行われている。もう少しHRTについて考えてみませんか。



 一方、更年期障害の原因は、単純にエストロゲンの欠乏で起こってくるものではないことが常識と言われている方も居ます。日本更年期医学会評議員の斉藤信彦先生もその1人です。下欄に同氏の著書と、その推奨される治療法を簡単にご紹介しておきます。

  平成14年4月10日のNHKテレビ「ためしてがってん」にもこのホルモン補充療法が取り上げられていました。日本では現在更年期女性の1.5%しか利用してないそうですが、北欧やアメリカでは40%前後の方が治療を受けているそうです。
  また、現在は1日1回の内服ですむそうですので、色々な原因不明の症状に悩まされている方は、一度産婦人科でご相談になってみることをお勧めします。
エストロゲン服用
  ホルモン補い、”老人病”も防ぐ
 日本初のHRT研究所「女性成人病クリニック」を92年、東京銀座に開院した院長の村崎芙蓉子さん(64)は、HRTの効果を身をもって知っている。
 もともとは循環器内科医。「50歳代半ば、勤め先の病院に非常勤への切り替えを申し出るほど、強い疲労感に悩まされました。ある時、文献でHRTを知りましたが、同僚はだれもこの療法を知らなかった」と振り返る。
 実験台のつもりで試すと、1週間もたたない内に疲労感は消え、冷えなどにも驚くほど効いた。気になっていた自身の総コレステロール値も260から220に穏やかながら下降。軽症の高脂血症はほとんどHRTだけで改善するという。
 閉経前後の10年
 閉経は平均50歳。その前後の慶10年が更年期にあたる。東京医科歯科大産婦人科教授の麻生武志さん(59)によると、月経不順、のぼせ、ほてりが代表的な症状。怒りっぽくなったり、落ち込んだりし、性欲を失い、膣が乾燥し、性交痛を感じることもある。
 原因は卵巣の機能低下による女性ホルモン「エストロゲン」の不足。「エストロゲンが十分に出ないと、自律神経系などの中枢である視床下部が盛んに卵巣を刺激するが、これにやっきになっている間、ほかの機能の調節、均衡が崩れてしまうのが症状を起こす理由の一つ」(麻生さん)。
 日本では更年期障害に悩んでも運動や食事・睡眠法の改善、漢方薬などで乗り切ろうとする人が大半。人工的な介入を避け、”老い”として受容しようという文化も背景にあるようだ。「ただ、長い目で見ると、HRTの効果には及ばない」(麻生さん)。更年期障害は通り過ぎても、エストロゲンの不足状態は続くからだ。エストロゲンは新しい骨を作る細胞を増殖させ、古い骨を壊す細胞を抑制する働きを担っている。不足すれば骨量が減少する骨粗しょう症になり、骨折しやすい。
 動脈硬化を予防
 エストロゲンは、悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを増加させ、動脈硬化も防ぐ。さらに膣粘膜の厚みを保つ効果や、筋肉の細胞を大きくする作用もある。閉経を過ぎると、子宮の萎縮や骨盤底筋の弛緩が生じ、子宮や膀胱が下がり、尿失禁も起きるが、これもエストロゲン不足から来る。
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左欄からのつづき
 このほか、エストロゲンによる抗うつ効果も知られており、HRT経験者の方がアルツハイマー病の発症が遅くなるとの報告もある。「更年期の薬というだけでなく、老年期の疾患を予防する薬でもある」と京都府立医大産科婦人科教授の本庄英雄さん(55)。 

 黄体ホルモン併用
 通常、エストロゲンを中心に、もう一つの女性ホルモンである黄体ホルモンを併用する。内服薬は多いが、肌に張るパッチ剤や刷り込むゼリー剤、膣に入れる座薬もある。
 本庄さんが特に勧めるケースは、@ほてりや発汗など更年期の症状があるA症状はないが、骨量減少や高脂血症が数値的に出ているB家族歴などでアルツハイマー病を発症しやすいと分かっているーー場合だ。ただ、だれでもHRTが使えるわけではない。乳がんや子宮体がん、血栓や重症な肝機能障害、原因不明の性器出血があるときなどは原則的に使用できない。
 北欧では閉経した女性の3人に1人以上がHRTを受けているが、日本では数%。「ホルモンががんを起こすという先入観をまだ引きずっている」(麻生さん)
 利点・欠点くらべて
 だが、黄体ホルモンを併用する現在の方法では、子宮体がんの発生は反対に下がり、大腸がんの発生減も報告されている。
 一方、乳がんの発生はどうか。世界21か国から集められた51の疫学調査を総合的に評価した97年の報告によると、HRTの使用でいくらか増加は見られる。だが、HRTを受けた人のがんの方が進行が遅かった。「乳がんの危険性を差し引いても利点の方が多い」というのが専門家達の一致した見方だ。
 ただ、一般的な副作用に不正出血や乳房痛がある。「内科や整形外科がHRTに及び腰なのは、こうした訴えに対応できないと言う面もある」。こう話すのは、高脂血症や骨粗しょう症の女性患者にHRTを処方している北大循環器内科講師の佐久間一郎さん(45)だ。もっとも、こうした副作用は開始後1年以内のことが多く、服用法を変えることで調整も可能だ。
 現在の方法が必ずしも最良ではない。「ホルモンをむやみにこわがることはないが、骨や血管、皮膚など必要なところのみ作用するようになるのが理想」と麻生さん。
 HRTは保険診療なら、月に2−4千円ほどの費用で受けられる。
斉藤信彦
『更年期の医学』
2001年3月第3版第1刷発行
(株)立風書房

 更年期障害には自律神経失調によるものと、心因性(心身症)、それに仮面うつ病によるものと三つあるので、その原因をおさえて治療して行けばよいが、ホルモンによる自律神経調整療法がその主流となっている。
 更年期障害の症状は系統的でなく色々な臓器にまたがり、動悸、頭痛、腰痛、食欲不振、疲労感、肩凝り、冷えのような症状がでるが、長い間苦しめられたこのような症状が二、三回の注射で全部消失してしまうことが多いので驚かれている。その一つに、上欄に紹介されている「エストロゲン療法」があるが、エストロゲンの使用を止めても、再発しないことがしばしば経験されている。したがって、この治療法は単なるホルモン補充療法でないと考えられる。
 著者は女性ホルモンとは逆の男性ホルモンの
「テストステロン療法」を行い著効を得ている。すなはち、テストステロン・プロピオネート25mgを三日連日で注射している。これで殆どの例に効果があるが、無効であった場合には五日待った後に心因性原因や仮面うつ病の存在を考慮に入れ治療法を変更されている。
 男性ホルモンは、通常女性にも男性の三分の二分泌されている。男性ホルモンは男女とも65歳で急減する。閉経で特に変化のない女性でも60代後半で急に老け込むのはこの男性ホルモンが減少するためと考えられている。以上のことなどからも、女性にテストステロンを投与することは理にかなったことと考えられる。

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